エルサレムの嘆きの壁のまえに

November 28, 2007

今回の旅行では、エルサレムにも2日ほど行くことになっていて、ホテルにガイドと一緒に死海で泳ぎたいというデザイナー数名が迎えにきた。

このデザイナー達は、前日の夜アトリエでパーティーを開いてくれ、友達になった人達。みんな日本に対する憧れと興味があるみたいだ。もちろん僕が彼らの興味を煽ったのもあるが。そしてエルサレムの他も、マサダという砂漠の中の要塞に感動した。彼らは1年に10日ほどしか雨が降らない過酷な砂漠の環境の中で、自分たちの生命/宗教/文化を維持してきた。

そういえばベドウイン族がラクダに乗っているのも見かけたが、僕の中ではアラビアのロレンスが颯爽とベドウインと共にに活躍するイメージが焼き付いていたので、それと比べるとあまり格好良くはなかった。また、赤軍派やパレスチナを支持していて、世界同時革命などを夢見ていた京都の学生運動家なども知っていたので、そういったイメージが頭の中で一緒になっていたのもある。

しかし、そもそも先ず実物を見てから前提条件を疑ってみることから始めないといけない。弱いものの味方のようなヒーロー的なイメージだけでは分かり得ない、深いバックグラウンドがあることも良くわかった。

また、このユダヤ人のガイドが凄く賢かった。Ron PerryというFred Perryのような名前のおじさんで先日もRalph Laurenのガイドをしたけど、などといいながら、如何にファション界にユダヤ人が多いかを話してくれた。そして医者の問診のようにまず君は何に興味があるのかと聞き正してきた。このガイドから、ユダヤ教や旧約聖書の話や、キリスト教の宗派が45も集まり、且つイスラム教のモスクがエルサレムの1キロ四方の壁の中に集まってる話などを聞いた。

先ず実物を見てからカフェで解説、そしてまた次を見て、お茶を飲みながら説明を聞くといった感じ。彼はアメリカの大学院で社会心理学を学び、その後、イスラエルで歴史と文化を毎日勉強しているという。彼とはとても話しがあった。そして彼は、僕が興味を持った、何故ユダヤ人はそんなに頭がいいのかという事に関して、少しずつ手がかりを与えてくれたと思う。

この辺はこれから少しずつ話すとして、今回は2日後にテルアビブからイスラエル航空で北京に帰ってきたときの話で終わりにする。

北京首都空港では、Baggageが出る所で誰かのバッグが引っかった様で、ベルトが止まってしまった。そしてブザーが鳴って中国人のスタッフが7-8人駆けつけてきた。ミーミー、イーアールサンスーとか何か解らないこといっているが、ラチがあかない。

10分ほどすると、イスラエル人のおじさん達が怒りだして、俺たちはファーストクラスなんだから別のコンベヤーで早く出せ、責任者を出せなどと怒鳴りはしないが、色々と要求を告げ始めた。解決しないまま更に10分ほど経つ中、ユダヤ人は議論を続け、中国人は右往左往しているばかり。

そこで僕は一人しかいない日本人として登場しなければと思い、止まっているベルトの上にあがり、ドライバーなどの道具を持ってこさせ、前提条件を疑えとばかりに、引っかかっているバックルを引き壊し始めた。更に5人ほどの中国人がウールチィパーとばかリに力を合わせて引っ張った。

すると音を立てて抜けて、コンベアーが動き始めた。中国人は大喜び、ユダヤ人は抽象論の後は問題が解決すると、何もなかったかのようにクール。日本人の僕はやはり実務的なことは日本人が優れているなと思い、嬉しく思った。日本人にも良いところはある。

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