安藤忠雄氏との講演
February 18, 2008
昨日、電通の講演で名古屋に行ってきた。これは名古屋と中部地方の経営者や広告担当役員など150人に、ECO=CREATIVEという切り口で新しい社会におけるデザインと経営戦略について語った。
安藤忠雄氏は環境そして建築-日本から世界へのメッセージ-という題で、僕は環境を巡る世界の状況と企業の戦略デザインについて話した。その後、電通のクリエイティブデイレクターの岡村雅子さんが環境をテーマにした世界中の広告を紹介した。
今回印象深かったのは、講演会が始まる前に8人ほどで鰻のひつまぶしを食べていた時、安藤さんが浪速のおじさんの様に気さくに色々と話をしてくれた事。U2のボノの家やデミアンハーストの家を設計している事、中田英寿の買ったニューヨークのビルを改装している事、飛行機に乗り遅れそうになりながら世界を飛び回っている様などを、格好付けずに話してくれた。
只の自慢にならずにこうした話ができるのは、飾らない人柄だからだと思う。世界で最も有名な日本人建築家は正直に生きている人だった。僕とは都市や環境に対しての、会社やお役所の日本の組織やお役人達の意思決定に関しての視点が近かった。
今の日本では皆で合意しながら進むという事に注意が置かれるあまり、何をどうするかと言った事や、勇気を持って体を張って立ち向かうという事と、自分で責任を取るという姿勢が弱い。
教育もそうだが、親の世代に大学さえ出ていれば良い、会社さえ行ってればいい、お金があればいいという価値観が残っていると、社会状況や世界の自然環境には勇敢に立ち向かえない。つまりなかなか知恵を絞って英知を結集させるという話にならない。それだけでなくデザインや趣味などにに対する姿勢も弱く、つい独りよがりになってしまいがちだ。
日本にはまだ良い所があるからこそ、どうにかしてもっと本来ある力を出せるように、フェアに真っ向勝負でやって行けるようにならないかと考えてしまう。若い人も自問自答するだけではなかなか抜けられないし、ネット上の情報だけでは、なかなか実行に移すほどの強い心は生まれない。
そんな中、今一番飛んでいてイケているのは、対話形式を基にするフィンランドの自己啓発型教育なのかも知れないと思った。
ヴィトゲンシュタインが北欧の山中の学校で小学校の先生をやっていた事に刺激を受け、とことんまで自己を掘り下げてみたいと思った昔からの夢。一番楽しかった、世界中のクリエイターにモチベーションを与えモノを作ってきた記憶。
僕の中にあるこうしたものを基に、今期のスクーリングパッドでは世界に通用するクリエイターを育てていきたい。何時でも刺激を自分のものにして、素直さとユーモアを持ってやって行きたい。スクーリングパッドの水曜日の夜のコースはこれだけで行きたいと思う。安藤さんからエネルギーを頂きました。