フィリップ・スタークが2年後に引退する
April 2, 2008
僕が初めてスタークに会ったのはパリのレ・アールでカフェ・コスト(今はもうなくなってしまい、その後コストはホテルで有名になった)をデザインした80年代の初め頃だった。彼の最初のインテリアの仕事がこのカフェ・コストだった。
もちろんその時は彼もまだ日本を訪れた事がなかった。その彼の才能を直感し、1年後に東京に招いた。京都に一緒に旅行して俵屋に泊まった。良い思い出だ。
その後イデーで家具のコレクションを発表し、日本の床の間の棚をアルミの翼で作ったりとスタークらしさを色々楽しんだ。
彼はその後イアンシュレガーのホテルをデザインして、あっという間にデザイン界のスターになった。モデルがスーパーモデルといわれてスターになったのと同じ頃、彼のデザインは世間で認知され、デザイン・キングと評されるようになった。
そしてドリアーデで発表した家具の展示会に入りきれない位人が集まったり、パリでもニューヨークでもセンセーショナルな事をいくつか起こしてきた。
しかし、最近はあの強烈なデザインには未来が無いと感じ、自分の世界に限界を感じたのか、もうデザインの時代ではないと考えているようだ。
彼のこの直感は実は僕も感じていた。彼の言う意味でのデザインの時代は急速に終わりを告げ、新しいデザインと、デザインから進化した意味の出現を迎える時が来たようだ。
今年のミラノのサローネではデザインの予言者としてのスタークが考え/言った事を見届けてこようと思う。