Only new,Always new,New again
May 3, 2008
この時期、ミラノのサローネで莫大なデザインを見るにつけ、いつもぶつかるのが、本当に新しいデザインだけをやって行きたいと考え、あえて良いデザインや売れそうなデザインを捨て、新しいモノ=Only newだけを追求する事について。
倉俣史郎さんと仕事をしているとき彼は流石な事を言った。
「もし僕のデザインが誰かのモノに似ていたら言って下さい、知らないうちに形が頭に入ってしまい無意識なうちに似てしまうことがあるんです。でも僕は本当に新しい自分のものを求めているので言って下さい。」と。
造形にはどこかで見たことがあるものが多い。そんな中で時代の先頭を切って新しい形を求めて行こうというスピリットは素晴らしい。しかしデザインの中には50年前のものでも、今も新しいものが稀にある。
それは普遍的に新しいもの=Always new。これは無名のデザイナーが無意識に作ったものにも、偉大なマスターがデザインしたものにもある。僕がアンティークが好きなのも、どうにかして、そういうものを作ったり作らせたり係りたいと考えてきたからだ。
古いものや良いものに触れていると体が自然とそれを覚えていて、永遠な新しいモノを見つけることができるのではないかと儚い希望を持っている。
また同時に一度忘れ去られてすっかり人々の注意から外れたものを、目利きがまた新しい切り口でみせてくれるものもある。突然時代の先頭に戻ってくるもの=New again。
こんなことを考えながらゆっくりと歩き、展示会の間に好きなバーで寄り道をして一休みして一杯飲み、また新しい発見を求めて歩き回る。東京でもこうした時の使い方をしたいがなかなかそうはいかないものだ。