スポーツと日本-ナイキとアディダス

August 5, 2008

ナイキは元々はビジネスを研究していて日本の運動靴を輸入する仕事をしていたフィル・ナイトが、日本の会社から断られそれでは自分で作り売るしかないということで始めた会社。彼らは26年前からWiden And Kennedyと組んでスポーツカルチャーを作ってきた。

初めはただ運動靴を作る会社だったが、色々なスポーツシューズを作る内に、スポーツ全体を考え探求する姿勢になり、本社をキャンパスなどと呼び旧社会の企業と違ったスマートにデザインされた組織を形成した。

3年前に、今はCEOになっているマーク・パーカーに案内してもらい、このキャンパスを廻った時は、デザイン開発部門をキッチンなどと呼び、若いデザイナーが創造性を生かせる環境にしていたのに感動したものだ。

そして今回スクーリング・パッドでこうしたスポーツデザインと素材の技術開発の現場を見に、今度はアディダスのアメリカ本社に来た。彼らは、古い病院を改装して各ビルをローマや東京など代々のオリンピックの都市名をつけ、全体をビレッジと呼んでいた。

靴のデザインの横でファションのデザインもしていて、みんなが和気あいあいと働いていた。スポーツを通し、現代社会ではなかなか難しくなっている、勇気や感動や人生を見つける事。

今は、戦争が名誉と国家の威信と歴史をかけたものではなくなり、勇者=ヒーローが存在できなくなり、一方お金儲けで勝者になってもあまり格好良くない場合が多く、創造企業以外では羨ましいとか憧れるとかいう心情がなかなか持てない。そして世の中の若者の価値観に抜けがなくなってきた。

スカッとした格好良さはスポーツの他にはなかなか見いだせない。デザインや情報のなかでもアップルやグーグルのように若くてどこかにスポーツを感じさせて、新しい創造的社会を作る息吹を感じる企業もあるが、大抵はすぐに企業買収と株価の時価総額などの戦いになりあまり美しくない。

その中では体を動かし汗をかき感動を求め、素材や技術に科学の最新情報を必要とするこの2つのスポーツ企業の動きは興味をそそられる。そこで彼らのデザイナーで、ナイキに6年働いていて今はアディダスでデザインしている人などに、その開発の姿勢や方法論、組織論などもろに聞く機会を設けた。

パタゴニアでずっと働いていた人が、新しく立ち上げた会社と共に僕らのセションにきたり、スターバックスにうんざりした人がスタンプタウンという、今評判のコーヒーロースターの会社を作って頑張っているのを見に行ったりしたが、大切なのはそれらの人々の自分を賭けて仲間とやって行く姿勢が美しいかどうかということだ。

そんな彼らは日本の若者のこだわりや美意識を高く評価している。そしてみんな日本のマーケットを気にしている。僕らももっとプライドを持って勇敢に新しい事業をスポーツのように戦って行っても良いのではないかと思った。

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