アップルとルーカスフィルム
August 10, 2008
サンフランシスコでルーカスフィルムのキャンパスが見れるということで早速案内してもらった。ここではジョージ・ルーカスの映画に対する愛情と彼の会社に対する作り込みを見ることができた。
ルーカスフィルムでは彼が集めた映画のポスターの他に、彼の好きなフランクロイド・ライトとマッキントシュ風の家具がそこら中に飾られ、彼は映画の次に建築と家具が好きなのが良く分かった。
元軍隊の宿舎の改装だけど良くできていて、会社は彼の映画のように細かく彼の趣味が反映していて隅々まで個人の匂い、インディペンデントの空気が流れていていた。勿論カフェや育児施設は完備し、秘密の部分とオープンの部分がはっきりしている。
やっぱりオタクなんだけど全体像が見えるオタクなんだと思った。コレクションをするだけでなくそれをどう演出してどう見せるかの空間的広がりを持ったオタクは不健康ではない、秋葉のオタクも奇麗にコレクションを飾っているかな。
それからバークレーに行き、僕の好きなMoe'sという本屋にも寄った。バークレーは学生街でアメリカのヒッピーの集まっている所でタバコ屋や水パイプやがたくさんあった。しばらくデュラントホテルにでも泊まって古本屋やカフェでも廻ろうと思ったが、アップルコンピューターでキャンパスにジョナサン・アイブと待ち合わせていた。
アップルの食堂は寿司やメキシコ料理などなんでもあり、スティーブ・ジョブズが気に入ったレストランからシェフを連れてきたりもしてるそうで、自分の好きな食べ物をみんなにも食べさせたいという気持ちが表れていた。
ここではグーグルなどの会社でインターンしているスタンフォードの学生が色々話してくれた。そしてジョナサンが登場した。彼とは2週間前にロンドンでも会っていたので、おおっという感じ。マーク・ニューソンと彼は似たところがり、まず手でドローイングや材質からいじって形を考えるんだと話してくれた。コンピューターはその後。
今の日本のデザイナーは図面は良いけど実物がひどいのがある。などと言っていた。そして12人しかいないアップルのデザイナーの中の唯一の日本人の西堀さんをその場で自分でデザインしたアイフォンで呼んでくれた。彼は今朝中国から帰ったばかりだったがカフェにやってきてひとしきり喋ってくれた。
僕は彼がパナソニックのデザイナーであったときの頃から知っていた。彼のユニークさは型にはまらないで何でもしてみるということ。京都に自分のカフェを作ったりもしていて、空間や社会や人を大きな視点で見ることができる上に、ジョナサンがいうように細かい所にもきちんと気がまわるデザイナーだ。
日本の大企業に比べ12人のデザイナーとは少ないし、限られた人数の中で何でもやらなくてはいけないが、ストレスがないからつらくないと言っていた。日本にいる時よりのびのびとしていた。僕のこともこのブログを見てくれていて、最近のことも知っていてくれた。彼らやマークは時代を形にすることができ、かつコンピューターに流さることない数少ないデザイナーなんだなと思う。
食べ物もそうだが、やたらにオーガニックやエコなどと言わないで、普通に良いものと美味しいものが判らないと。日本の場合どこのレストランで働いてたという学歴みたいなこという人も多いが、やはりそういうことは別に言わないでも良いのではと思った。
これからは、今の時代の形が読めないでやたらと数字を押すしぶとい優等生よりも、こうしたセンスのいい人、クリエイティブな人がこうした会社のCEOになり活躍していくのだと思った。
そういえばナイキのマーク・パーカーもデザイナー出身だ。ガリ勉型の優等生はスポーツとデザインが判る人間にリーダーシップが取って代わられる時代が来たということか。そうしている内に偶然かスティーブ・ジョブズが僕らの前を通りかかった。彼はおおっという感じでスポーツマンのように精悍だった。