自転車操業、BMX的発展
October 6, 2008
ブックコンシェルジュコースで出版界のことを聞いていると、最近の大手出版社は毎年どんどんと新しく本を出版しなければいけないシステムになっていて、次から次へと新刊本を出す。さもなければつぶれてしまうシステムに落ち込み、それにより出版物全体の売り上げは減っているのに新刊書の数は増えているという状態になってしまった。すると昔のように丁寧にいい本を作るということができなくなり、かつ儲かりもしなくなった。
業界は違うが、最近騒がれているサブプライムローンも、ディベロッパーがどんどん新築しなければ業績が悪いと見なされ株価も下がるので、無理して建てて返済能力がない人にもローンを組ませ、その危ないローンをサブプライムローンと呼び、それらを安全なローンと混ぜて、金融債権にかえてそれを売り買いする。つまり本質をずらすことによるまやかしの発展で会社の売り上げをのばす、走らなければ転ぶという自転車操業に巨大企業が落ち込んでしまったことによる当然の帰結としての破綻と見るのが正しいと思う。
そもそも現在の地球を覆う閉塞感というのも、こうして会社が大きくならなければ、進化ではなく、量的拡大なくして企業、いや社会の発展はないという漠然とした方向に対する疑問、無力感からくるものだと思う。限られた地球の大きさに対し、無限に大きくなってきた人類の欲望、それに対峙してどうしていいかわからない、という状態があるのだと思う。大人になってきた人類社会が質的進化を大切にし自然に対して謙虚に慎み深く働きかけ、暴力的に自然を破壊しないこと。数字にだまされないこと。こうした方向の上にしか人類の未来はない。
先日僕らのイベントで世界一のBMXの操作のうまい子達がパーフォーマンスを見せてくれた。自転車を巧みに操作し自転車と戯れ、慈しみそして前に進むだけでなく循環する。これを新しい自転車の操業の仕方だし楽しみ方だなと僕なりに解釈した。これからは前にいかないと転んでしまうような運転ではなく、後ろに行ってもいい感じに操縦しないといけない。BMX的発展。若者がBMXを運転するのを見て、循環する進歩。そんなことを感じてうれしくなった。