不必要な欲望と不自然なやる気

December 19, 2008

昨日も新聞やテレビでマンションの販売が落ち込んでいて今迄なかった不況だと報道していた。全盛を誇り産業の柱になっていた日本の大企業が赤字に転落したり、社員をカットしている。来年中には300万人ぐらいが首になるのではないかといわれている。

そもそもこうした産業の統計の基準になっている指数の基本姿勢は、会社は大きくなるもの、売り上げと利益は増えなければいけないもの、増大し続けることが優良企業の証、という暗黙の方向性があった。いや今もある。

だけど地球の人口が30年前の2倍以上になり、地球の自然のキャパが限られている以上、無限に増殖できると考えるのは無理があるのではないか。今迄消費意欲をかき立て、経済の拡大を企業と個人共に行ってきた。

ふと自分の生活を見てみると、別にいらないものを買っていることに気がつく。車は2台もいらないし、そもそも自転車があればいいはずだ。洋服も必要の数倍も毎シーズン買っている。デザインだ文化だといいながらこの不必要な欲望を人々にかき立てさせられていたのではと反省する。

今までデザインだ建築だアートだといって、文化の根底にある美意識を社会生活に落とし込む事を考えボクなりにそれを心から信じてやってきた。しかし今の時点でもう一度人類の文明という視点で現在の社会を見ると、いま言ったように不必要な欲望をかき立ててきてしまったのではないかと思う事がある。

ボクはこうした周りの社会が困っているときはなんとかできないだろうかと思うタチで、自分はさておき人の為という気性がある。そうすると自然に自分にも跳ね返ってくるものだ。

バブルの頃、金融系、ウェブ系、外資系を中心とした気持ち悪い不自然なやる気と有能さが今更ながら鼻についてくる。こうした不自然なやる気を見せて会社に入っていてもどこか病んでいる。趣味の悪いスーツを着て、名刺交換をさせていただきますとか言って握手は両手でとか、挨拶も不自然な丁寧さ。気持ち悪いと思う。

だからボクは名刺を持たないようにしている。必要なときは手書きで名前と電話とメールアドレスを書くようにしている。今の時期、根底からいろいろなことが変わって行く。不況だからといってしがみつかないで、人に良くする気持ちで自然な態度で、肥大したフォアグラのような欲望を抑えて行きたいと思う。

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