和紙の里
September 19, 2009
なぜかこの数年間は金沢/富山/福井と、北陸に来ることが多い。
この5年でもう30回以上来てると思う。始めはデザインコンペの審査などで、そのうちに地場産業をどうにかしようという事で、地元の企業家と話したりするのに呼ばれている。
その内に東京しか知らない僕が、福井の竹田村の700年の古民家をどうにかしたいなんて本当に考える様になった。
昨日までは和紙の手すきの工房(工場?)に行ってきた。ここでは若者も結構働いていて、それがみんな良い顔をしいる。どんどんと減って行く紙の手漉きの技術を守るだけではなくて、さらに発展させていこうという志を持っていて、僕の方を真剣にみてくる。ここで本気にならない訳にはいかない。
和紙というのは本当に優しい手触りで、三つ又、ガンピなどをどう混ぜるか、透かしの技術などは日本人の繊細な心遣いがあってこそできるもので、今後は僕の和紙の開発も自分でもやりたい。
封筒やライティングパッドや様々な紙の最高の出来の商品を開発するのは、家具屋を再開する前にやっておくべきかな。と思わせるものがある。大量に紙を使うのはダメだけど、丁寧に紙と印刷を突き詰めるのはありだと思う。
今後出版業界のスケール規模は小さく成るけど、責任在る言葉や感動的な文章はもっと必要だし評価もされなくてはね。だから紙製品をとにかく沢山売ろうとはせずに、少しだけでも良いものを作って、それでなり立つ産業に紙産業や印刷産業を再考し再生させなければ行けない。
そう自分の中で決めると後から元気が湧いてくるものだ。
それに僕みたいな人はもっと沢山いるだろうし、より深く真剣に考えているだろう。ヨーロッパには良い文房具屋がたくさんあるし、オリジナルの封筒や紙は知識人階級のお洒落。
そんなこと喋ってたら福井に隈さんの設計した建物の料亭があって、そこで軽く一杯やったら、すっかりロンドンの酒の華っていうレストランみたいな気持ちになった。建物ごと手掛けているから、彼のちょっとした傑作の一つかなと思う。
再生にはまず、古さと新しさ/手仕事と機械仕事を対立させないで、上手く持って行く考え方の柔軟さが必要だと思った。