コミューン Kommun Commune
August 15, 2014
先日、建築家の中山英之氏と話していて、都市と建築を繋ぐ長さは3キロだという意見を聞いた。
これはバックミンスターフラーのあのマンハッタンを覆う透明なドームの直径が3キロだと言う事に起因しているようだ。Your Private Skyという題が素晴らしいその写真を元に作られたドームのデザイン画は忘れられない。それは、都市のビルを包みながら、巨大な建築空間が出来ている。人間の感覚ではここが建築と都市、プライベイト空間の最大だと言う訳だ。
建築家は不思議な視点でモノを考える。そういえばコミュニティーFMを作ろうと思って調べてみたら3キロ四方までなら電波法で縛られずに独自の放送局を作れそうだった。きっと勝手に作ることのできるコミュニティーにとっての情報が届く限界なのだろう。
一方、先日行ったスウェーデンではKommunという、市よりも大きく、市を包む廻りの町を含む地域の単位がある。コミュニティーを形成する最大の単位の様だ。
パリコミューンをふと思い浮かべてみる。1871年、パリ中が理想社会を目指して短期間だけ起きた情況を想起する。行政の単位としてのパリ市が、真の民主制を求めた運動体の様に一瞬まとまったことがあった。これをパリコミューンという。
マルクスは共産主義ーコミュニズムの始めの出現だといった様だけど、僕はもっとプリミティブな、理想社会を求める運動体の始まりの要素があると思う。
現在ポートランドで起きている独特の流れが思い浮かぶ。1968年ぐらいからのアメリカのヒッピー達の理想社会を目指して、山の中にコミューンと言う独自の村を作って生活した。武者小路実篤も理想主義的な平等社会を実現する、「新しき村」を作った。「君は君、我は我、然れど仲よき」などとみんな仲良く暮らす一種のコミューンを目指した様だ。
そういえばパリコミューンでは初めて女性参政権を実現し、教育改革や行政の民主化や信教の自由等を実現した政府を確立した。そしてプロシア軍に囲まれた重圧の中で、みんな挨拶を交わして、和気あいあいの社会を形作った様だ。
ここは夏フェスの時にみんながハイな状態になって、挨拶をしあったりする感じだった様だ。そうすると考えるに、コミューンというのは短期間だけに実現した、運動体。未来社会の理想を歴史上初めて実現したコミュニティーだった様だ。
ここには、現代の社会の行き詰まりを突破するエネルギーを持つ運動体の様な要素がある様に思える。現代のネット社会、情報や知識が欲しいだけ手に入る様な社会を、シリコンバレーを中心に、デジタル革命として実現した様だけど、決して人類の叡智が集まった世界が出現した訳ではなく、愚かな戦争や悲惨な行為が繰り返されている世界を見るにつけ、理想を持ち、社会に対するビジョンを持つ事が如何に大切かが良くわかる。
そこにはリスクを冒しても自由を得ようと言う人類の限りない理想主義の発露を見ることができる。コミューンから色々と考えてみた。